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ぎだう
細い
大根を三四
本ぶら
下げて、
今日は
御馳走を
買つて
來たと
云つて、それを
宜道に
煑てもらつて
食つた。
宜道も
宗助も
其相伴をした。
彼は
平凡を
分として、
今日迄生きて
來た。
聞達程彼の
心に
遠いものはなかつた。
彼はたゞ
有の
儘の
彼として、
宜道の
前に
立つたのである。
二
度目に
眼が
覺めた
時、
彼は
驚ろいて
飛び
起きた。
縁側へ
出ると、
宜道が
鼠木綿の
着物に
襷を
掛けて、
甲斐々々しく
其所いらを
拭いてゐた。