“えんじ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:エンジ
語句割合
臙脂83.8%
衍字2.9%
嚥脂1.5%
煙寺1.5%
燕児1.5%
燕脂1.5%
燕路1.5%
臙膩1.5%
艶爾1.5%
遠邇1.5%
鉛字1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
庭の桔梗ききょうの紫うごき、雁来紅けいとうの葉の紅そよぎ、撫子なでしこの淡紅なびき、向日葵ひまわりの黄うなずき、夏萩の臙脂えんじ乱れ、蝉の声、虫のも風につれてふるえた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
脱字・衍字えんじと思われる箇所もないではないが、作者特有の語法もあり、用語・用字への配慮もあると思われるので、なるべく原文通りにして、ときに脚注をもって説明した。
その隙間から、何か嚥脂えんじ色のものが、チラチラ見えている。確かに洋服の布地だ。人形が菊の衣の下に、御叮嚀に洋服を着ているというのは変である。
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
煙寺えんじ晩鐘ばんしよう漁村ぎよそん夕照せきせう、之を八景といつて得意の畫であつたといふのである。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
十五になる燕児えんじというおさななの女があって、結婚もせずに歿くなったが、一晩して生きかえり、起きて四辺を見たのちはしり出ようとした。女の父親があわてて扉を閉めて出さなかった。女は言った。
蓮香 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
こんな塲合にも自分だけは見窄らしい風はしまいといふ樣に白粉くさい張り氣を作つて、自分の情緒を燕脂えんじのやうに彩らせやうとしてゐる女の心持がいやであつた。
木乃伊の口紅 (旧字旧仮名) / 田村俊子(著)
つい、この間も人形町の末広で、燕路えんじの会というのがあった。「白木屋」や「山崎屋」や物真似や、梅にも春の芸者二十四刻の踊りを、まだ若い燕路(柳亭・四代目)は器用にやった。
随筆 寄席風俗 (新字新仮名) / 正岡容(著)
壺装束つぼしょうぞく市女笠いちめがさをかむった彼女は、細い旅の杖も、右馬の頭が用意していた。心なしか生絹はえた美しい顔にやや朝寒むの臙膩えんじをひいた頬をてらして、いきいきとして見えた。
荻吹く歌 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
幽里子は艶爾えんじとして、自分の胸を抱くのです。其処そこに秘めてあるという意味でしょう。可愛らしい真珠色の指に透いて、乳のふくらみが、ほのかに青磁色の上着を匂わせます。
張昺等を北平城の内外に分ち、甲馬は街衢がいく馳突ちとつし、鉦鼓しょうこ遠邇えんじ喧鞠けんきくし、臣が府を囲み守る。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
倉成竜渚りゆうしよの歿したのは前年文化九年十二月十日で、齢は六十五であつた。名はけいであつたらしい。鉛字えんじの世となつてから、経と書しかうと書し、諸書区々まち/\になつてゐる。あざなは善卿、通称は善司であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)