山の湯雑記やまのゆざっき
山の蜾※の巣より出で入道の上立ちどまりつつるひそかなりけり 前に来たのは、ことしの五月廿日、板谷を越えて米沢へ出ると、町は桜の花盛りであった。それほど雪解けの遅れた年である。高湯へ行きたいのだと雇いかけて見ても、どの家でも、自動車を出そうと …