ふもと
「ごらんなさい。あの男ですよ」 村役場の楼上で老村長と対談中の鮫島校長は早口に叫んで荒涼とした高原を指さした。 なだらかに傾斜する見果てない衰微。白樺の葉は落ちて白い木肌のみ冷めたい高原の中を、朽葉を踏み、紆るやうに彷徨ふ人影が見えた。 「 …