真紅な帆の帆前船まっかなほのほまえせん
遠江の御前崎へ往ったのは大正十四年の二月二日であった。岬には燈台があって無線電信の設備もあった。その燈台の燈光は六十三万燭で十九浬半の遠距離に及ぶ回転燈であった。私は燈台の中を見せてもらって、その後で窓の外へ眼をやった。沖あい遥に霞の中に、 …