貧乏一期、二期、三期びんぼういっき、にき、さんきわが落魄の記わがらくはくのき
第一期 僕は、僕の母の胎内にゐるとき、お臍の穴から、僕の生れる家の中を、覗いてみて、 「こいつは、いけねえ」 と、思つた。頭の禿げかゝつた親爺と、それに相当した婆とが、薄暗くつて、小汚く、恐ろしく小さい家の中に、坐つてゐるのである。だが、神 …