其後も忠之は度々見舞の使を遣り、又利章の療治をしてゐると云ふ醫師鷹取長松庵たかとりちやうしようあんに容態を尋ねた。さて使や醫師の復命を聞くに、どうも利章は重病ではないらしかつた。
栗山大膳 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)