自分が金扇馬標きんせんうまじるしを押立てて本陣に馬を進めようというのではなく、表面はどこまでも道庵に芝居をさせて、自分は軍師としての采配を振る——という行き方は、お角さんらしいものでありました。
大菩薩峠:33 不破の関の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)