藤原仲麻呂ふじわらのなかまろがその家持と支那文学の話などに打ち興じながら、いつか話題がちかごろ仏教に帰依した姪の郎女いらつめのうえに移ってゆく会話なども、いかにもいきいきとしていたな。
大和路・信濃路 (新字新仮名) / 堀辰雄(著)