ぎ澄ました霞が浦の鏡一面、大空につく息白く立ち上る頃は、遠かった筑波も毛穴の見える位近々と歩み寄って、夕日の頃は、其の下に当る相見崎観音あいみざきかんのんの石段の数も殆どよまれる。
漁師の娘 (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)