勝久は水木の夫であった畑中藤次郎はたなかとうじろうを頼もしくないと見定めて、まだ脩が浜松に往かぬ先に相談して、水木を手元へ連れ戻したのである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)