「へえ、君の伯父さんてえな誰だい」「牧山男爵まきやまだんしゃくさ」と迷亭はいよいよ真面目である。主人が何か云おうとして云わぬ先に、鼻子は急に向き直って迷亭の方を見る。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)