千朶山房せんださんぼうの草稿もその晩年『明星』に寄せられたものを見るに無罫むけい半紙はんしに毛筆をもって楷行を交えたる書体、清勁暢達せいけいちょうたつ、直にその文を思わしむるものがあった。
十日の菊 (新字新仮名) / 永井荷風(著)