明治七年甲戌こうじゅつ十月、名古屋の森春濤がその時十四歳になる一子泰次郎を伴って出京した。泰次郎は後の槐南森大来かいなんもりたいらいである。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)