幸い美濃岩村の旧藩士で、鎗屋町の跡に碁会所を開きたいという多芸多才な日向照之進ひゅうがてるのしんは弓夫が遠縁のものに当たるから、和助はその日向の家族の手に託して置いて来たともいう。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)