その時、近臣の一人、岡崎十次郎おかざきじゅうじろうという者が現われました。放縦で、少し虚無的で、そして才気の鋭いこの男は、早くも若殿忠弘の悩みを察して、芳江兄妹の探索に乗り出してくれたのです。