冬心の化け物にそれがないのは、立ち場の違つてゐる為のみではない。出家庵粥飯僧しゆつけあんしゆくはんそうの眼はもう少し遠方を見てゐたのである。
支那の画 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)