ぢき裏の路地の奥に蓬莱豆をこしらへる家があつて倶梨迦羅紋紋くりからもんもんの男たちが犢鼻褌ふんどしひとつの向ふ鉢巻で唄をうたひながら豆を煎つてたが、そこは鬼みたいな男たちが怖いのと
銀の匙 (新字旧仮名) / 中勘助(著)