夜明けに三十分ほどトロ/\としたと思うと、いつだか歌舞伎座でみた『五十三次扇宿附ごじゅうさんつぎおうぎのしゅくづけ』の「古寺」の場での五代目の怪猫がおくらの役を好き自由にじゃらす夢をみた。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)