めて山本伯の九牛一毛きゅうぎゅういちもうなりとも功名心があり、粘着力があり、利慾心があり、かつその上に今少し鉄面皮てつめんぴであったなら、恐らく二葉亭は二葉亭四迷だけで一生を終らなかったであろう。
二葉亭余談 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)