不毛荒蕪地ふまうくわうぶちに立つ夫婦生活は、お互ひに歩み寄つて、開墾する熱情もなかつたのか、はかなくも終りを見てしまつた。富岡は、邦子の野辺のべのおくりが済むと、いつそう身軽になつた気がした。
浮雲 (新字旧仮名) / 林芙美子(著)