毎月晦日みそかぢかくなると、お千代は一時自分のものにして喜んでいた種子の衣類を一襲々々ひとかさねひとかさね質屋に持って行かなくてはならぬようになった。
ひかげの花 (新字新仮名) / 永井荷風(著)