蛾はどこにでもゐるがはどこにでもいる
たうとう彼の妻は死んだ。彼は全くぼんやりとして、妻の顏にかかつてゐる白い布を眺めてゐた。昨夜妻の血を吸つた蚊がまだ生きて壁にとまつてゐた。 彼は部屋に鍵をかけたまま長らくそこから出なかつた。彼は蚊が腹に妻の血を蓄へて飛んでゐるのを見ると、妻 …
作品に特徴的な語句
代物しろもの