うき草うきくさ
その村には遊んでゐる女が二人ゐた。一人はほんの少しばかり氣がふれてゐるさえといふ女で、三年ほど前、北支那へ行つてゐて、去年の夏、何の前ぶれもなくひよつこり村へかへつてきた。 さえの家は炭燒きをしてゐたのだけれど、父親はもうずつと以前に亡くな …