深夜の峠にてしんやのとうげにて
峠の頂上を過ぎると私は十歩も歩まぬうちに、いきなり蹲み込んでしまつた。木の葉が偶にそよいでゐる。土は湿つてゐて、腰を下ろすことは出来ない。一寸横に寄つて径傍の草を撫でてみたが、それもビシヨ/\だ。新聞紙も何もないので私は遂に諦めて蹲むだけに …
作品に特徴的な語句
径傍みちばた