途中で考へるから、ともかく銀座の方へ向つて走つて呉れたまへ——僕は、いつにもそんなことはないのだが、たつたひとりで寂しさうに外へ出ると、車に乗つて、そんな風に呟いた。外套の襟に顔を埋めて、うまいものだなあ——と吐息を衝くのであつた。あの人の …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「三田文學 第九巻第一号(一月号)」三田文學会、1934(昭和9)年1月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約5分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約8分(300文字/分) |