日記といふものを、逆に時日を遡つて誌さうとしたら、映画のヒルムを逆に回転するやうな混乱に陥るだらうか——今朝、こんなことを考へながら、墓地に隣る生垣の傍らで書きかけの原稿を焼いてゐた。霧が深かつた。ちよつとは思ひ出せない程幾晩も徹夜を続けた …
著者 | 牧野信一 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「新潮 第二十九巻第十二号(十二月号)」新潮社、1932(昭和7)年12月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約5分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約8分(300文字/分) |