灯ともし頃ひともしごろ
荒廃した庭園の一隅。 藻屑に覆はれた池のほとり。 雑草の生ひ茂つた中に、枯れ朽ちた梅の老樹。 晩春——薄暮。 少年が一人、ぽつねんと蹲つてゐる。手に持つた竹竿で、時々、狂ほしく草叢を薙ぐ。顔は泣いてゐるが、涙は出てゐない。 帽子が傍らに脱ぎ …
作品に特徴的な語句
燈火あかり