『灯ともし頃』
荒廃した庭園の一隅。 藻屑に覆はれた池のほとり。 雑草の生ひ茂つた中に、枯れ朽ちた梅の老樹。 晩春——薄暮。 少年が一人、ぽつねんと蹲つてゐる。手に持つた竹竿で、時々、狂ほしく草叢を薙ぐ。顔は泣いてゐるが、涙は出てゐない。 帽子が傍らに脱ぎ …
著者 | 岸田国士 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 戯曲 |
初出 | 「女性 第七巻第四号」1925(大正14)年4月1日 |
文字種別 | 新字旧仮名 |
読書目安時間 | 約5分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約8分(300文字/分) |
作品に特徴的な語句
燈火