九月朔日くがつさくじつ
市電は、三筋町で二三人おろすと、相變らず單調な音をきしらせ、東に向つてのろのろと進んだ。なまぬるい風、灼けつくやうな舗道のてりかえし。——その時である。まだ停留所までだいぶあるのに、車體が左右に大きく横搖れして、急に停つた。 乘客は、いつせ …
作品に特徴的な語句
はじめ