市電は、三筋町で二三人おろすと、相變らず單調な音をきしらせ、東に向つてのろのろと進んだ。なまぬるい風、灼けつくやうな舗道のてりかえし。——その時である。まだ停留所までだいぶあるのに、車體が左右に大きく横搖れして、急に停つた。 乘客は、いつせ …
著者 | 伊庭心猿 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 前半の(三一・九)「春燈 第十一巻第九号」春燈社、1956(昭和31)年9月1日 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約4分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約6分(300文字/分) |