閑人かんじん
十二月になると小さな街も活気づいて、人の表情も忙しさうになった。家にゐても、街に出ても、彼は落着かなかったが、昼過ぎになると、やはり拾銭の珈琲代を握り締めて、ぶらりと外に出た。兄貴から譲られた古トンビと、扁平になってしまった下駄で、三十歳の …
作品に特徴的な語句
蹣跚よろめ せわ