雑木林の中ぞうきばやしのなか
明治十七八年頃のことであつた。改進党の壮士藤原登は、芝の愛宕下の下宿から早稲田の奥に住んでゐる党の領袖の所へ金の無心に行つてゐた。まだその頃の早稲田は、雑木林があり、草原があり、竹藪があり、水田があり、畑地があつて、人煙の蕭条とした郊外であ …
題名が同じ作品
雑木林の中 (新字新仮名)田中貢太郎 (著)