噴水のほとりで――ふんすいのほとりで
私達は水族館を出ると、觀音堂の裏をすこしばかり歩いた。大きな樹があつた。噴水があつた。鳩が不器用に飛んでゐた。五月の夕暮だつた。 「乞食つて、君、……」 突然、あちらこちらのベンチの上に落葉のやうにころがつてゐる乞食の群を見ると、私の友人が …
題名が同じ作品
噴水のほとりで―― (新字旧仮名)堀辰雄 (著)