私達は水族館を出ると、觀音堂の裏をすこしばかり歩いた。大きな樹があつた。噴水があつた。鳩が不器用に飛んでゐた。五月の夕暮だつた。 「乞食つて、君、……」 突然、あちらこちらのベンチの上に落葉のやうにころがつてゐる乞食の群を見ると、私の友人が …
著者 | 堀辰雄 |
ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
初出 | 「文藝春秋 臨時増刊号オール読物号」1930(昭和5)年7月5日 |
文字種別 | 旧字旧仮名 |
読書目安時間 | 約3分(500文字/分) |
朗読目安時間 | 約5分(300文字/分) |
題名が同じ作品