私は今から二ヶ月ほど前に胃から黒い血をはいた。時しも天下は追放解除旋風で多量のアルコールが旋風のエネルギーと化しつつあった時で、私はその旋風には深い関係はなかったが、新聞小説を書きあげて、その解放によって若干の小旋風と化する喜びにひたった。 …
| 著者 | 坂口安吾 |
| ジャンル | 文学 > 日本文学 > 評論 エッセイ 随筆 |
| 初出 | 「美しい暮しの手帖 第一一号」1951(昭和26)年2月1日 |
| 文字種別 | 新字新仮名 |
| 読書目安時間 | 約7分(500文字/分) |
| 朗読目安時間 | 約12分(300文字/分) |