夏の花なつのはな
わが愛する者よ請ふ急ぎはしれ 香はしき山々の上にありて獐の ごとく小鹿のごとくあれ 私は街に出て花を買ふと、妻の墓を訪れようと思つた。ポケットには仏壇からとり出した線香が一束あつた。八月十五日は妻にとつて初盆にあたるのだが、それまでこのふる …
題名が同じ作品
夏の花 (新字新仮名)原民喜 (著)