風態なり)” の例文
「なんでい、なんでい、こんな野暮な風態なりをして。これじゃまるで親類へお客さまに行くようじゃないか」
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「先生! つ、艶は、こんな風態なりになりましてございます。お恥ずかしい——」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
少年は小肥りの身体に、変り縞の久留米絣くるめがすりを着ていた。藍鼠の絹紬けんちゅうを角帯に仕立てたものを博多結はかたむすびに結んでいた。中学生の癖に、やすもの揃いで、通人振ろうとおつにひねった風態なりをしたがる。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
俺らは、手前てめえらの正体なんか知りたくもねえが、その風態なりでは、いくら夜中でも、江戸の町あ歩けねえから、いいか、ここを出たら庭で三人いっしょに袋を脱いで、桜の木へ掛けて行くんだ。
つづれ烏羽玉 (新字新仮名) / 林不忘(著)
おなかの中では「なんだ、おまえの風態なりは」といい返している。
美少年 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)