内兜うちかくし)” の例文
彼はふと金がどうかなっていはしないかと思ったが、そこでしらべることも出来ないので、それを上衣の内兜うちかくしに入れ、時計を手首に着けた。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
謙作は廊下へ出ると内兜うちかくしに手をやって紙入を出してみた。金にはすこしも異状がなかった。彼は幾等いくらか女に置いて往かなくてはならないと思ったが、なんだかばかばかしくもあった。
港の妖婦 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)