黒豹くろひょう)” の例文
それを見ると、地上の群集は「ワーッ」と叫んで、逃げ足立ったが、不思議なことに、いつまでたっても、黒豹くろひょうは墜落してこなかった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
黒豹くろひょうのようなヨハンの影が、鉄窓の下の一部のさんをはずしますと、お蝶は忽ちその中へ影を消して、うしろの木蔭まで尾けて来た日本左衛門をして茫然とさせました。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
恩田はしわくちゃになった黒い洋服を着ていたが、それが彼の精悍せいかんせた四肢ししにピッタリくっついて、そのまま一匹の巨大な黒豹くろひょうであった。
人間豹 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
獅子、虎、大象、黒豹くろひょうおおかみなど、その吠ゆる声もすさまじい程である。
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちぎれたぬのの一ぺんは、忍剣の手につかまれたまま、よろよろと二、三よろけたが、野幕のまくとばりのあいだなので鉄杖てつじょうのあつかいも自由にゆかず、みすみす、黒豹くろひょうのようにげこんでゆくうしろすがたに
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)