黒味くろみ)” の例文
よる戸毎こごと瓦斯がす電燈でんとう閑却かんきやくして、依然いぜんとしてくらおほきくえた。宗助そうすけこの世界せかい調和てうわするほど黒味くろみつた外套ぐわいたうつゝまれてあるいた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
左様さよういろで一ばんよくわかる。最初さいしょうまれたての竜神りゅうじんみなちゃッぽいいろをしてる。そのぎはくろ、その黒味くろみ次第しだいうすれて消炭色けしずみいろになり、そして蒼味あおみくわわってる。
メァリーの明るい栗色くりいろの髮は、分けて綺麗きれいまれてゐた。ダイアナの少し黒味くろみがゝつた髮は、大きくウェーヴされて、首筋を蔽つてゐる。時計は十時を打つた。
この漆はね、先生、日向ひなたへ出してさらしておくうちに黒味くろみが取れてだんだんしゅの色が出て来ますから、——そうしてこの竹は一返いっぺん善く煮たんだから大丈夫ですよなどと、しきりに説明をしてくれる。
文鳥 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)