さしま)” の例文
さう云つて、夫人は信一郎をさしまねいた。どちらかと云へば、小心な信一郎は、多くの先客を押し分けて、夫人の傍近く坐ることが、可なり心苦しかつた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
下女が返事をする前に、ガラツ八を目でさしまねいた平次は、疊屋との境になつて居る黒板塀の方へ近づきました。
かつこの間の事について何の介意かいいをも含んでいないらしく自分の耳に響いた。彼は自分のために、わざわざ一脚の椅子を己れの前へえて、自分をさしまねいた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
近習の一名にさしまねかれて、宗矩は、何事かと急いで、家康の幕営ばくえいへ駈けて行った。
剣の四君子:02 柳生石舟斎 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ちん羽扇はおうぎにてさしまねき、に頼もしき
鬼桃太郎 (新字新仮名) / 尾崎紅葉(著)
何か頷きながら中野をさしまねいた。
地図にない島 (新字新仮名) / 蘭郁二郎(著)
そう云って、夫人は信一郎をさしまねいた。どちらかと云えば、小心な信一郎は、多くの先客を押し分けて、夫人の傍近くすわることが、可なり心苦しかった。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
あふぎにてさしまねき、たのもしき
鬼桃太郎 (旧字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼女は振り顧つて、微笑と共に信一郎をさしまねいた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
彼女は振りかえって、微笑と共に信一郎をさしまねいた。
真珠夫人 (新字新仮名) / 菊池寛(著)