から)” の例文
と私が言ったので、家内や妹は棺の周囲へ集って、毛糸の巾着の外に、帽子、玩具おもちゃ、それから五月の花のたぐいで、死んだ子供のからを飾った。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
このままにして乾燥した玉虫のからのように永久に自分から離さずに置く方法があればよいと、こんなことも思った。
源氏物語:49 総角 (新字新仮名) / 紫式部(著)
生洲いけすの魚じゃありませんが、同じ江戸のお奉行へ差立てるにしても、いきのいいやつを送るのと死んだからを送るのじゃ、値打において大変なちがいです。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
デュアック エサは神々の子孫でいられますから、死にはなされませぬ、ただ其からはネサの砦に横わって、永久に死の夢のなかにタラの山を眺めておられるのでございましょう。
ウスナの家 (新字新仮名) / フィオナ・マクラウド(著)
ようやくの事で空しきから菩提所ぼだいしょへ送りて荼毘だび一片のけぶりと立上らせてしまう。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
雨の日のつめたき縁にほの光る蛍のからはつまみ棄てたり (現、新作)
文庫版『雀の卵』覚書 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
泣寝してやがてその儘寝死ねじにしてやさしき人のからと云はれん
晶子鑑賞 (新字旧仮名) / 平野万里(著)
燒けただれたる路の砂、なやみからの葉とともに
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
ゝゝゝから運ばざるゝゝゝゝ 享夫
俳句の作りよう (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
からにだに我きたりてへ露の身の
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
からこそ見つれ鼹鼠もぐらもち
泣菫詩抄 (旧字旧仮名) / 薄田泣菫(著)
羽蟻はからを、どくだみの
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
養生やしなひからはただれ。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
羽蟻はありからの墓どころ
有明集 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)