しるし)” の例文
さかしげな百説、どれもこれも採るに足らぬ。吉良は無事に生きているのだ。ただ、亡君の怨敵おんてきたる彼のしるしを申しうければそれで足る)
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「拙者は竹腰藤九郎たけのこしとうくろうでござる、おしるし頂戴ちょうだいして、先君せんくん道三入道殿にゅうどうどの修羅しゅら妄執もうしゅうを晴らす存念でござる」
赤い土の壺 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「見い! この長光で秀頼ひでより公のおしるしをいただいて、お祖父様の顔に突きつけてみせるぞ」
忠直卿行状記 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
、よく申し上げた上にて、おしるしを頂戴しよう。もう、一時たりとも、猶予ならん
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
敵のしるしを揚げた時は、かばねは上衣に包んで泉岳寺に持参すること、子息のしるしは持参におよばず打捨てること、なお味方の手負いは肩に引懸け連れて退くことが肝要だが、歩行難渋なんじゅうの首尾になれば
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
聞けば、赤穂浪人の軽輩の中には、亡君の無念を胆に銘じ、吉良殿のしるしを申しうけんと、臥薪嘗胆がしんしょうたんしている者もあるそうな。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
又、こちらで吉良殿のしるしを目がけている間に、先方の刺客が、突然、内蔵助の生命いのちを奪い去らないと何うして断言できよう。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
にぶらせては、末代までの名折れ、まかりちがえば、あなたのおしるしを頂戴するやも知れぬ。貴公もまたおぬかりあるな
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また、吉良のしるしをあげて、泉岳寺へひき揚げてくる途中、金杉橋までくると、内蔵助が、十郎左をさし招いて
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
吉良殿のしるしを、泉岳寺の君前に手向たむけてから後、松平伯耆守まつだいらほうきのかみやしき直訴じきそして、公儀の処分を待ったのである。
べんがら炬燵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆうべ一挙に攻めて道三のしるしを挙げたものと——わしもその日の夕方にはやっと知った。
茶漬三略 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
だが、うしおのように、宇治川を破り、平等院をかこんだ平家の大軍は、数日のうちに、三位頼政父子の首、そのほか、渡辺党、三井寺法師の一類のしるしを、剣頭にかけて、凱旋がいせんしてきた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お覚悟かくごなさい! 太刀取たちとりの民蔵たみぞうが君命によってみしるしはもうしうけた」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
鷺山さぎやまのお城を出られて、長柄中瀬ながえなかせのほとりに義龍よしたつの軍を迎え、おとといからの激戦にござりましたが、遂に、義龍の部下、小牧道家こまきみちいえのために、おしるしを掻かれ、義龍はそのおしるしを見ると、——乃翁だいおう
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「光春。おしるしを」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)