飯豊いいで)” の例文
旧字:飯豐
九七 飯豊いいでの菊池松之丞まつのじょうという人傷寒しょうかんを病み、たびたび息を引きつめし時、自分は田圃に出でて菩提寺ぼだいじなるキセイ院へ急ぎ行かんとす。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
会津の飯豊いいで山塊の中の地紙じがみ山は、雪が扇の地紙のように消え残る為に其名を得た、しかるに地図には之を地神山と書いてあるのは誤っている。
白馬岳 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
快晴の日には佐渡も富土山も認めることが出来るそうである、この山上の大観はが北越の諸山に比較すると、飯豊いいで山の雄渾ゆうこん豪壮に対しては少しく遜色があるが
平ヶ岳登攀記 (新字新仮名) / 高頭仁兵衛(著)
奥羽殊に羽越の国境に蟠崛する飯豊いいで、朝日の連峰に取り巻かれている谷や、奥上州から信越の国境にわたる山脈中に抱かれている谷などは、大部分これであって
渓三題 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
土淵村大字飯豊いいで今淵いまぶち勘十郎という人の家にては、近きころ高等女学校にいる娘の休暇にて帰りてありしが、或る日廊下ろうかにてはたとザシキワラシに行きい大いに驚きしことあり。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
まともに照りつける日光を受けて純白に輝く雪の美しさ。それが飯豊いいで山であることは一目で知られた。
秋の鬼怒沼 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
飯豊いいでの大同にもオシラサマはなけれどオクナイサマのみはいませりという。
遠野物語 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
頂上の展望は広闊無比で尾瀬の全景を脚下に俯瞰し、奥上州の諸山、日光、会津駒の連峰は言うに及ばず、遠く飯豊いいで、妙高、北アルプスをも一眸いちぼううちに収め得られる。