“霑”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
うるほ34.9%
うる23.8%
うるお22.2%
9.5%
しめ4.8%
うるみ3.2%
こぼ1.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
倐忽たちまちひとみこらせる貫一は、愛子のおもてを熟視してまざりしが、やがてそのまなこの中に浮びて、輝くと見ればうるほひて出づるものあり。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
「ああ、虹とは……。貴方は何を仰言おっしゃるのです」伸子は突然弾ね上げたように身体を起して、涙でうるんだ美しい眼を法水に向けた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
上の伏見屋の金兵衛が古稀こきの祝いを名目に、村じゅうへのうるおいのためとして、四俵の飯米を奮発したぐらいでは、なかなか追いつかない。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
草原は水を打ったようにれている、夜半に雨が降ったのかも知れない、考えると何だかそのような気もする。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
茶を熱く入れてかおりのよいところを御二人へ上げましたら、奥様も乾いた咽喉のどしめして、すこしは清々せいせいとなすったようでした。急に、表の方で
旧主人 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
そして、ぱっちりした、うるみのある、涼しい目を、心持俯目ふしめながら、大きくみひらいて、こっちに立った一帆の顔を、向うからじっと見た。
妖術 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
と思うと涙をらちもなくこぼすのと、他愛もなく笑いこける事より存じませぬ者ばかりでござりますもの。
胚胎 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)