雙手もろて)” の例文
新字:双手
かたりをはれる時かの盜人雙手もろてを握りて之を擧げ、叫びて曰ひけるは、受けよ神、我汝にむかひてこれを延ぶ 一—三
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
氣丈らしい老母加世も、打ち明けて話した氣のゆるみに、疊の上に雙手もろてを突いたまゝ、ポロポロと涙をこぼすのです。
我が黄金こがねをも何ともおもはず、接吻をも何とも思はぬをおん身に見せんため、我はこの詩人のかたに接吻すべし。新く言ひをはりて、女主人は雙手もろてもて我頬を押へ、我唇に接吻して、家の内に走り入りぬ。
男子をのこくゆりて、雙手もろて、見よ、ひらけり。
我は悲しみのあまり雙手もろてを噛めり、わがかくなせるをくらはんためなりとおもひ、彼等俄かに身を起して 五八—六〇
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
初代勘兵衞は肩を顫はせて、疊の上に雙手もろてを突きました。小鬢こびんの處が搖れて、涙がハラハラと膝に散りました。
雙手もろていのちの火にかざしぬくめしかど
独絃哀歌 (旧字旧仮名) / 蒲原有明(著)
忽ちかなたに忽ちこなたにあらたなる焔をはらふさちなき雙手もろて亂舞トレスカにはしばしの休みもあることなかりき 四〇—四二
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
錦太郎はボロボロと涙をこぼし乍ら、疊の上へ雙手もろてを突くのです。
雙手もろてを眉のあたりにかざし、つよきに過ぐる光をらす一の蔽物おほひをわがために造れり 一三—一五
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
平次は四尺の溝を飛越し、格子に雙手もろてを掛けて説き進むのです。
わが師雙手もろてをひらきてしづかに草の上に置きたり、我即ちそのこゝろをさとり 一二四—一二六
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)