“隕(お)” の例文
その時、その患難ののち、日は暗く、月は光を発(はな)たず。星は空より隕(お)ち、天にある万象震い動くであろう。(一三の二四、二五)
一の流星あり。その疾(と)きこと撃石火(げきせきくわ)の如く、葡萄の林のあなたに隕(お)ちぬとぞ見えし。けふ我に接吻せし氣輕なる新婦(にひよめ)の家も亦彼林のあなたにあり。
もう、馴れ切ったはずのこの考えが、石のように重く心の上に隕(お)ちかかり、ひどい力で胸のあたりを締めつけた。
墓地展望亭 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
地球に拙劣(せつれつ)な着陸をして一命を隕(お)とすよりはいいけれど、行方も見当がつかないのでは仕方がない。
地球盗難 (新字新仮名) / 海野十三(著)
いかなる言葉もてもこれを言い消すことあたわず、大空の星の隕(お)ちたるがごとし、二郎はその理由(ことわり)のいかんを見ず、ただ光の失(う)せぬるを悲しむ。げにこの悲しみや深し。
おとずれ (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
自然に引き付けられたれば咎(とが)も恐れず、世を憚(はばか)りの関(せき)一重(ひとえ)あなたへ越せば、生涯の落(お)ち付(つき)はあるべしと念じたるに、引き寄せたる磁石は火打石と化して、吸われし鉄は無限の空裏を冥府(よみ)へ隕(お)つる。
薤露行 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
「惜しむべし、甲州の巨星は遂に隕(お)ちたようです」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その時の迫り、星の隕(お)ちたのを見たのだ。