陣鐘じんがね)” の例文
法螺ほら陣鐘じんがねの音に砂けむりをあげつつ、堂々と街道かいどうをおしくだり、蒲原かんばら宿しゅく向田むこうだノ城にはいって、松平周防守まつだいらすおうのかみのむかえをうけた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それらの者はこの六月の末という暑気に重い甲冑を着て、矢叫やさけび太刀音たちおと陣鐘じんがね、太鼓の修羅しゅらちまたに汗を流し血を流して、追いつ返しつしているのであった。
魔法修行者 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
おりから、法師野ほうしのの空にあって、三りゅう陣鐘じんがねが鳴りわたるを合図あいずに、天地にとどろくばかりな勝鬨かちどきの声があがった。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
蒲生源左衛門まかり通る、蒲生忠右衛門罷り通る、町野左近将監罷り通る、罷り通る、罷り通る、と陣鐘じんがねのような声もあれば陣太鼓のような声も有る、陣法螺じんぼら吹立てるような声も有って
蒲生氏郷 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
と、それはあまりに遠くない地点から、ぼウ——ぼウ——と鳴りわたってきた法螺ほら、また陣鐘じんがね。耳をすませば、ごくかすかに甲鎧こうがいのひびきも聞える。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)