鋤焼すきやき)” の例文
「牛肉の鋤焼すきやきかな。……そう、それがよかろう。みんなで、つっつけるからな。……恭一、お前、肉屋まで走って行って来ないか。」
次郎物語:02 第二部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そんな風だから、牛肉と云ったって鋤焼すきやきなどはめったに食べられず、わずかに肉の切れっ端が一ひらか二片浮いているようなものばかりを食べさせられる。
細雪:01 上巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
ポケットに残っていた五十銭玉を、東中洲の盛り場で投出して、飯付めしつき十五銭の鋤焼すきやきを二人前詰込んだ吾輩は、悠々とステッキを振り振り停車場へ引返した。
山羊髯編輯長 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
戦前には多くの日本留学生が此地に居り、日本飯をかしぎ、牛肉の鋤焼すきやきをし、窓前に紅い若葉の楓盆栽をおいて、端唄はうた浄瑠璃を歌つたその名残ではあるまいか。
イーサル川 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
媼は日本の留学生に日本飯にほんめしかしいで呉れた。それから牛肉の鋤焼すきやきなどもして呉れた。併し日本飯をくとつても先づ米に幾通りかあつて、それを鑑別しないとうまい飯にはならない。
日本媼 (新字旧仮名) / 斎藤茂吉(著)
「しかし、こないだの鋤焼すきやき会には弱ったね、暑くて。」
次郎物語:04 第四部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)