金仏かなぶつ)” の例文
旧字:金佛
「ああ、わかりました。御本尊ごほんぞん金仏かなぶつさまががったのです。ほら、あのとおりお口のはたに、あんこがいっぱいついています。」
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
……ふん、畜生、云わねえつもりだな! 金仏かなぶつのように黙っていやがる! おしが自慢でもあるめえに。よし手前がその気ならもう一嚇ひとおどし嚇してくれる。ヤッ
神州纐纈城 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おまけに、金仏かなぶつ光りに禿はげ上っていて、細長い虫のような皺が、二つ三つ這っているのだが、後頭部うしろのわずかな部分だけには、嫋々なよなよとした、生毛うぶげみたいなものが残されている。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「そうです。僕には、この金仏かなぶつの目がまたたく様に見えたのですが。あなた方も見ましたか」
吸血鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「しかし、女に親切にして、たれたという話はまだ聞かんよ。それより君はどうなんだ。あの秋蘭は素晴しい美人だが、毎日あの女を使っているくせに、まさか金仏かなぶつでもないだろう。」
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
それは一室ひとましかないような小さな寺で、戸締とじまりのない正面の見附みつけの仏壇の上には黒くすすけた金仏かなぶつが一つ見えていた。庭は荒れて雑草が生えていた。武士は何人たれかいないかと思って見附へ往った。
山寺の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
「自分の兄だがまったく朴念仁の金仏かなぶつだ」
風流太平記 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
そこで大きなおかまにいっぱいおかして、金仏かなぶつさまをほうりみました。するともなく、おゆうがぐらぐらにたぎってきて
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
といいながら、おこって手にっていた払子ほっすで、金仏かなぶつさまのあたまを一つくらわせました。すると「くわん、くわん。」と金仏かなぶつさまはりました。
和尚さんと小僧 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)