遠慮会釈えんりょえしゃく)” の例文
旧字:遠慮會釋
一同は、ワッといって、入口のの方へ、先を争って駆けだした。ガラガラと、重い鉄扉てっぴが、遠慮会釈えんりょえしゃくなく、引き開けられる物音がした。
夜泣き鉄骨 (新字新仮名) / 海野十三(著)
赤子はひとしきり遠慮会釈えんりょえしゃくもなく泣いてから、仏のような顔して眠っている。姉々にすぐれて顔立ちが良い。
去年 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
所詮しょせんおとこおんなもなく、おせんにっては迷惑千万めいわくせんばんちがいなかろうが、遠慮会釈えんりょえしゃくはからりとてたあつかましさからつるんだいぬくよりも、一そうきおって、どっとばかりにせた。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
しかも先きの攻め道具たりし寒気と風力とは、ますます猛烈を加うるのみにして、更にそのいきおいを減ずることなし、あまつさえ強猛なる寒気は絶えず山腹の積雪を遠慮会釈えんりょえしゃくなくさかしまに吹上げ来り