近江路おうみじ)” の例文
そして九月の紅梅会の旅に、うちあわせていっしょになり、参覲さんきんの道筋では家中の人の眼につくので、遠く近江路おうみじをまわって東海道へ来た。
雨の山吹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
数日を、特に、この城にいて、やがて二十一日、近江路おうみじへ入り、その月二十八日、大坂城へ、帰り着いた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今度が二度目の近江路おうみじの景色に見入りながら、去年の九月雪子と上京した時に、瀬田の長橋や、三上山や、安土あづち佐和山さわやまの城跡などを教えて貰ったことを思い出していたが
細雪:03 下巻 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
これやこの、知るも知らぬも逢坂の、行きかう人は近江路おうみじや、夜をうねの野に啼くたずも、子を思うかと哀なり。番場、醒が井、柏原、不破ふわ関屋せきやは荒れはてて、ただ漏るものは秋の月。
ドナウ源流行 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
近江路おうみじや何処まで春の水辺なる 月居げっきょ
俳句はかく解しかく味う (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
近江路おうみじへやりました井上大九郎、その他の者、ただいま武田伊那丸たけだいなまるをご陣屋まで召しつれましたが」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
空はよく晴れて、地上の夕闇が濃くなるに従い三日の月が光を増していたが、半月前に近江路おうみじを落ちて来たときに比べると、河原から吹いて来る風がひとしお身に沁み渡るのであった。
聞書抄:第二盲目物語 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「ははは。そちは信長をめくらと思うているな。京では京の浮かれとあそびほうけ、近江路おうみじへ来ては、長浜のさる豪家ごうかまで、そっとゆうを呼んでおいて、ひそかに会って来たであろう」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それ以外に、何のわきまえもござりませぬ。そのかわり事しあれば、尾張より美濃近江路おうみじの敵地もこえて、三日のうちには御所の御垣みかきまでいつなと馳せ参ずるが信長の能事のうじにござります。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もうそろそろ北国街道かいどうの雪もけてまいったはず、春となれば、秀吉ひでよしと、弔合戦とむらいがっせんをやるべく意気ごんでいた柴田勝家しばたかついえが、きたしょうから近江路おうみじへかけて、ミッシリ軍勢ぐんぜいをそなえているでございましょう
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夏の頃、駒を止めた山中越えも通って——近江路おうみじへさしかかった。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
義仲は、近江路おうみじへと、はや、軍馬をすすめていると聞えた。
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)